決算業務は、会社の財務状態(資産、負債はどれだけあるのか)と1年間の損益結果(儲かったか赤字が出たか)を計算して、国や自治体に申告し、時には金融機関、取引先にも見せられる状態にする、絶対に避けて通れない作業です。銀行の融資のためには決算を待たずに中間報告を求められることもあり、そのために試算表(仮決算)を作ることが多いです。
国・自治体への決算の申告は決算日から2か月以内と決められているのですが、税理士事務所が決算整理と申告作業を行うのはギリギリになります。3月末決算の会社だと5月連休明けくらいに決算整理が始まります(そして法人は3月決算が多いので5月は確定申告と並んで繁忙期)。
・・・と簡単に書きましたが、その決算整理とは何をしたらいいのか、全く分からないままでした。
僕も10月くらいから顧問先を与えられて、もちろん最初から1人で出来るわけが無いので所長なり先輩の指示で作業するのですが、その指示すら何がなんだか。帳面も揃っていない、入力も足りていない、そんな状態で何を整理するのか、さっぱり。
各企業で内容が違うのだし、1年目だから分からないのは当たり前なのですが、できないことを妙に焦っていたというか。冷静になって大まかにフローチャートでも書いていれば良かったのかなあと今は思いますが、「出来て当たり前」「出来ない俺はどうかしてる」と思い込んでしまったのです。
ちなみに所長や先輩からの叱責は記憶にありません。たぶんそんなことされなかったはずです。
決算だけでなく、途中の税務手続きも仕事のひとつで、たとえば源泉所得税の申告などもありました。
普通会社は毎月給料を支払った翌月上旬に、従業員分の所得税を納付します(特例で半年に一回まとめて払う制度もある)が、その所得税納付書も書けない会社があり、その代行まで依頼されることがありました。
そして引き受けた事務所の担当である僕が所得税控除の仕組みを全然理解できていませんでした。社会保険・所得税・住民税の控除区別も分からず、実はデタラメだった給与明細一覧を見ながら所得税をなんとなく計算して納付書を作成し、その会社に預ける・・・という内容でした。あとでその納付書が全く使われていなかった(つまり所得税を納付していなかった)と聞いたときには唖然としましたが。
1か月の所得税ですらまともに計算できなかったところに12月、年末調整の時期となり、一から十まで何も理解していない僕には大量の年調処理は無間地獄でしかありませんでした。決算もできない、税金の計算もダメ、じゃあ何ができるかというと「掃除と座布団温め」だけでした。なんでこの仕事選んだんだろうって。根本的に合ってない。ギブアップでした。
途中から長期欠勤したのち退職(もちろん事務所からの勧奨で)しました。(続く)