80年代前半、僕が小学5年生くらいまで実家近く(徒歩圏内)に本屋はありませんでした。雑誌くらいならタバコ屋とか八百屋にも置いてありましたが、そこそこ本を並べてある本屋に行くには、車で20分くらいかかる隣の町に行かないとダメでした。
1985年(昭和60年)春、歩いていける場所に本屋がオープンしました。
50坪で、今ある本屋に比べれば小さめでしたが在庫は多めで、そこはパラダイスでした。僕が読みたかったベーマガ(マイコンBASICマガジン、というパソコン雑誌)も平積みで置いてありました。ちょっと離れた雑誌棚にはエロ漫画雑誌もありました。バレバレ覚悟でずっとチラ見して前屈みの体勢を維持していました。エロ漫画を買う勇気はなくベーマガとMSXマガジンだけ買っていました。金はどこから捻出したのやら。
1988年(昭和63年)、その本屋は改装されて80坪に増床しました。
こうなると立派な書店です。文具類も充実。エロ本は逆に少なくなったような・・・この頃には、音楽雑誌(ロッキングオンとか)とマンガの単行本をよく選んでいました。コピー機サービスも結構利用しました。なんでこの本屋の広さとかを知ってるかというとそのチェーン店に入社したからです(実家のお店はのれんを借りた独自店舗(FC)なので働く機会はなかった)。
高校生くらいまではこの本屋さんを使っていたのが、大学に進学すると、複数のでかい本屋があってそっちばっかり利用するようになりました(専門書とかはさすがに地元では買えない、など)。
やがて就職して自分が書店員となり実家を離れると、80坪の「小さな」本屋には全く寄らなくなりました。いつだったか分かりませんが閉店したそうで、そのずいぶん前にお店に寄ったとき在庫はぐんと薄くなっていてやり繰りの大変さが伝わってきました。
地元に本屋ができたときの喜びは、現在まで他の新規出店のそれとは比べようがありません。少なくとも子供の頃、本や雑誌は究極の娯楽だったのです。本屋は昨今の低迷なんて考えられない、ずっと続く商売だと思っていました。
今の居住地の近くには、やはり本屋がありません。図書館はあるし何といっても天下のアマゾンが使えるのでそれほど本選びには苦労していませんが、ふらっと寄って衝動買いしてしまうような本屋は、あってほしいなあと思い続けています。

ちなみにこれがマイコンBASICマガジン、1985年1月号。ネタ帳として素晴らしいので今後ちょい出しするかも。(最初に買ったのは名古屋・大曽根の本屋。この現物はヤフオクで・・・)