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「大戦後スイス外交の変容」→改題「スイスと欧州地域統合」

またカビの生えたような古い話をします。ジジイだからね。

 
 大学4年生の夏、卒業論文テーマを決める時期になって、それまで興味関心のあったヨーロッパ統合について書きたいと考えて、とりわけ主要国だったフランスの対EC(欧州共同体、今のEUの前身)政策をまとめてみようと思い立ちました。
 そこでゼミの先生に相談したところ「フランスなんかやめろスイスにしろ」と返されました。主要国の政策よりも小国の、しかもEC非加盟国のスイスをネタにした方が面白いだろう、と。僕は先生が怖かったので(そんなのばっかり)言う通りにテーマ変更して、スイスとヨーロッパとの関わりについて卒論を書くことにしました。
(タイトルを決めた後も「こんなタイトルの本ないだろう、もっと簡単にしろ」と言われて修正。それがこの記事のタイトルのとおりです)

 スイスは他の先進国、ヨーロッパの国と比べても特徴の多い国です。大統領輪番制の長期大連立政権、アメリカ以上に州の自治権が強い連邦制度、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語を公用語とする多国語社会、などなど。永世中立のイメージが強いけれどあくまでも重武装中立で国民皆兵(市民の武器所持も容易)、公共機関から住宅まで核シェルターを備えるなど物々しい社会制度下にあります。直接民主制(国民による発議と投票)が浸透していて、国民投票は年4回行われるそうです。
 僕が卒論を書く数年前、1992年末にスイスはEEA(欧州経済地域、ヨーロッパ広域の共同市場)加盟を国民投票で否決しました。EU非加盟国のスイスですが、当時は国連にも加盟していない、筋金入りの中立国でした(にもかかわらず主要都市ジュネーヴには過去から国連の機関が多く存在していた。不思議)。僕はとりわけEEA否決に至るまでの経緯をテーマの中心として準備し始めました。

 調べれば調べるほど変わった国。そして調べたいのにスイスに関する本の絶対数が少ない。大学図書館の地下書庫から1960年代の雑誌を引っ張り出したり、それでも足りずに公共図書館で虱潰しに在庫カードを抜いたり。インターネットが普及する前なので頼りは書籍、雑誌、新聞(しかも古いのばっかり)でした。知りたい情報が載ってる本を探し当てたときは宝でも見つけたように喜びました。予想以上に資料集めに苦労しましたが、楽しかったです。
 肝心の卒論は、資料さえ集めてしまえばあとは現代の「コピペ」と大差なく抜き出し・再構成、が作業の中心でした。それでも十数点以上の資料を一本の柱にしっかり括り付けるよう組み立てるわけで、これも思ったよりは簡単ではありませんでした。全ての参考文献と注釈を列挙するよう先生には言われていて、そこは抜かりなくやりました。
 こうして5ヶ月近くかけ卒論を完成させて提出(期限1週間前に余裕で出せた。ただ、文書作成していたワープロが故障していて論文出力直後に使えなくなったのには冷や汗ものだった)。先生には(特にゼミで)叱られ詰られアカハラじゃないのかと思う時もあったけど、最終的には論文の出来を褒めてもらえて嬉しかったです。

 論文のテーマはともかく、それまで自分の関心が低かった国のことを調べたり、様々な視点論点(政治経済、社会、文化それぞれ、また参考文献の著者の書き方など)をまとめたり、貴重な経験をさせてもらったと思っています。また、どんなテーマも上辺だけでなく掘り下げて考えることも時には必要かもしれないな、とも思います。
 あと、机上の論理だけでなく実地の体験もしたかった。お金を工面してでもせっかく勉強したスイスへ旅行すべきでした(今からでも遅くないけど、時間というか、仕事が・・・)。

 それから、うちのゼミの先生はAPEC(アジア太平洋なんとか)やASEAN(東南アジアなんとか)などが専門で、ゼミでもその辺の地域研究が中心でした。まあ殆ど現代史学的アプローチだった。先生はまだ現役のようです(大学は違うけど)。学閥とか好きそう(笑)
 スイスについては今「民間防衛」を読んでいるので、また書いてみたいです。

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僕も物持ちがいいな・・・当時の卒論の原稿を残しています。1996年1月のもの。
キヤノンのワープロを使っていました。今に比べると低機能だけど本当に役に立ちました。



「大戦後スイス外交の変容」→改題「スイスと欧州地域統合」_c0057821_20002466.jpg

そして今から11年前に、保存用としてパソコン(WORD)で一から原稿直ししました。
よく読むととっても稚拙な内容。そこがまた愛おしいのかもしれん(気持ち悪いかも)。



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by OuiOui1974 | 2022-03-09 20:13 | 今までのまとめ・回想録 | Comments(0)

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