朝ドラ「カムカム・エブリバディ」で、題材としてラジオ英語講座が出てきます。戦前から英語講座があったことが驚きでした。
今でこそ通学からインターネットまで、様々な語学学習のスタイルはありますが、昔はなんといってもラジオ講座が中心でした。子供や初学者が学ぶ「基礎英語」だと朝・昼・晩の3回放送されていた覚えがあります(朝が本放送、他は再放送)。1980年代の話です。
当時、父が英語講座を聴くようになりました。それこそ朝6時から始まる「基礎英語」「続基礎英語」「英語会話」の3本立て。基礎英語が中学1年生くらいまで、続基礎が中3程度、英語会話は高校以上の英語力だった印象です。朝半分寝ながら僕も横でラジオを聴いていました。
特に印象的だったのが「英語会話」です。解説も英語が多くてチンプンカンプン(当時は東後勝明さんが講師。トーゴ先生の英語は凄く綺麗だと今でも思う)なのに、OPで「アーン💛」と喘いでいたり、外人のアシスタントが「ハッロォエビバディ!!」とあいさつしていたりで、馬鹿アメリカ人全開で僕好みでした。内容は分からんのにね。
父は3講座のテキストを毎月購入していました。貿易関連会社に転職したため英語を学ぼうとしていたはずです(それまで英語なんか縁がなかった)。ラジオ講座だけでなく、いろんな教材が家にありました。千趣会の「心臓で話す英会話」ってがの面白かったです。山田さんというサラリーマンがアメリカから出張してきたスミスさんを世話する、しかし山田さんは英語が全くダメ、という設定。やたら「パードゥン?(なんだって?)」を繰り返していた。
講座にしろ教材にしろ、買っておしまいではなく、父は割と真面目に続けていました。記憶では5年以上はラジオ講座を聴いていたんじゃないかな。「英語会話」も大杉正明さんが講師をされて以降も聴いていた。
にもかかわらず、父の英語レベルは全く上昇しませんでした。本人も「イエスとノーが言えりゃオッケーだろ」と観光客でも言わないことをほざいていました。仕事でも欧米、中東まで行ったのに、現地では一体どうしていたのか。
ただ、おかげで僕にとって英語は身近な存在に感じられ、なんとか大学受験に耐えうるレベルまでは習得できました。学校の成績はよくなかったけど、運もあったのでしょう。少なくとも嫌いな教科ではありませんでした。
そんな僕も、学校で英語を学ばなくなって30年近く経ち、もともともなかった英語力も空っぽになりました。せいぜいグランドセフトオートで出てくるひどい言い回し(「なんでお前なんか生きているんだ」「お前見てると移住したくなるよ」など)が分かる程度です。外国に行くことも外人と話すこともないから必然なのですが。
「カムカム~」で主人公の安子がラジオ講座だけであんだけ喋れるようになるのは、やっぱ凄いな(演じてた上白石萌音さんは大学で語学教育をちゃんと受けたようですが)と改めて思った次第です。
これは覚えなくてもいい外国語。