米澤穂信さんの著作を読むのは初めてでした。
あまり書くべきことではないですが、
この作者とある時期に同じ職場にいたことがありました。
支店は違ったけれど。
角川によくあるラノベ作者?というイメージが強くて
読むのをためらっていたのですが
最近は一般的な小説も多いとのこと、
そして新聞の記事に興味を持って
この「Iの悲劇」を手に取りました。
無人だった山村への移住促進に取り組む市役所職員の苦闘を描いたものです。
良い意味で読み易く、短編がうまくつながっていて
読書から離れがちな僕でも面白く読めました。
*
地方に人を留め続ける、または人を呼び込むことが
この国にとって重要なのか、無駄なことなのかを問われる内容でした。
大都市圏の方が、地方交付税交付金を受ける自治体を負担に思うのは当然だし
人口が激減する自治体が移住促進に取り組んだところで
本当に活性化されると思ってやっているのか、など思うところは尽きません。
一方で、自己実現、自己同一性を求めて都市部から移り住み
生き生きと暮らしておられる方、
または移住生活に憧れる方、
そういう方々の願いを受け入れる社会を否定されてはならない、
かつて離島移住を経験した僕がそうであったように、と
思うのは自然なことです。
でも今は・・・小説にもあるように
田舎の山村は「深い沼」なのかもしれない、と。
国の人口が(大都市圏であっても)どんどん減っていくなか
それでも田舎に呼び込む移住促進にお金を費やす意味はあるのだろうか、と
思えてなりません。淋しい考え方ですが。
もともと移住生活を綴っていたこのブログですから
ある程度、この話は根を張って、これからも書いていこうと思います。